つくば宇宙フォーラム
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第164回
重力崩壊型超新星における逆行衝撃波を考慮したダストイールドと高赤方偏移銀河への示唆
東京大学
要旨
銀河におけるダストの物理的性質を理解することは,銀河形成・進化を解明する上で重要である。宇宙初期においては,重力崩壊型超新星 (Core-Collapse Supernova) がダスト供給の主要な起源であると考えられている。しかし,超新星の前方衝撃波が星間物質 (ISM) と相互作用することで発生する逆行衝撃波 (reverse shock) は,新たに形成されたダストを破壊し,その総質量を大幅に減少させる可能性がある。この破壊効率には依然として大きな不確実性が残されている。 本研究では,GRASHrev モデル (Bocchio et al., 2016) を用いて,逆行衝撃波の通過後に生き残るダストの質量・組成・粒径分布を計算した。解析対象として,初期質量$13$-$120\,M_\odot$,初期金属量 $\mathrm{[Fe/H]} = −3,\,−2,\,−1,\,0$, 自転速度 $0$ および $300\,\mathrm{km\, s^{-1}}$ からなる包括的な超新星モデルを用いた。また,超新星爆発は一様な星間物質中で起こると仮定し,星間物質の密度を $0.05,\, 0.5,\,5\,\mathrm{cm^{-3}}$ の3通りについて調査した。 その結果,粒径が約 $10\, \mathrm{nm}$ を超える比較的大きなダスト粒子ほど逆行衝撃波による破壊に耐性が高く,生存ダストの大部分はアモルファス炭素から構成されることが分かった。非回転星モデルでは,太陽金属量で $120\,\mathrm{M_\odot}$ の超新星が密度 $0.5\,\mathrm{cm}^{-3}$ の ISM 中で爆発した場合に最大の生存ダスト質量(約 $0.02\, \mathrm{M_\odot}$)が得られた。これは,逆行衝撃波通過前のダスト質量のおよそ4%に相当する。 本発表では,GRASHrev モデルの概要を紹介し,逆行衝撃波がダスト粒径分布に与える影響を比較する。さらに,この結果に基づいて減光曲線(extinction curve)を計算し,JWST によって近年発見された高赤方偏移($z > 6$)の銀河における平坦なダスト減光曲線との関係について論じる。最後に,現在進めている関連研究として, Kokkos を用いた銀河形成シミュレーションコードの開発状況や, AI を活用したシミュレーション研究の加速について紹介する。